【海外の反応・レビュー・豆知識】『テイルズ・オブ・エンパイア』モーガン編(第1話~第3話)

2024/05/05

アニメ レビュー

t f B! P L

   

  • 第1話「恐怖の道(The Path of Fear)」
  • 評価: ★7.6/10(IMDbユーザー評価)
  • 第2話「怒りの道(The Path of Anger)」
  • 評価: ★7.8/10(IMDbユーザー評価)
  • 第3話「憎しみの道(The Path of Hate)」
  • 評価: ★7.5/10(IMDbユーザー評価)

海外の反応

「最高に素晴らしいとまでは言えないが、楽しめる。しかし、アニメーションはこれまで見た中で最も素晴らしい。また、グリーヴァスの描写も最高の出来だ」

「モーガンのは期待していたより良かった。彼女のバックストーリーがより探究されて感謝している。もし『マンダロリアン』S2の前に見ていたら、彼女や惑星コルヴァスを実写で見るのが楽しみになっていただろうな。第2話の戦闘シーンは驚くほど良かった。本作のアニメーションは美の極みだ」

「エルズベスが土をつかむアニメーションは信じられないほどの出来栄えだった。アニメーションはここまで来た」

「モーガン・エルスベスがTIEディフェンダーの黒幕になったのは興味深い。それをどう解釈すればいいのかわからないが」

「第3話のラストで、救難信号を受信したのはボ・カターンだと字幕でわかる。演じたのもケイティー・サッコフだ。彼女が新共和国と一緒に働いていたというのは、かなり興味深い」


レビュー

『マンダロリアン』S2や『アソーカ』で活躍した悪役のモーガン・エルズベスを掘り下げたアニメーション。あまり謎が明かされることはなかったが、「ダソミアの魔女」と言われてもピンと来ないライト層向けに『クローン・ウォーズ』とマンダロリアン・シリーズを繋ぐ使命を帯びた作品だったのだろう。だからこそ、途中で登場したスローン大提督が、自己紹介とばかりに自分の思想をペラペラ熱弁しており、少し笑ってしまった。

このモーガン・エルズベスを主人公にした三部作は、EP1のヨーダの名台詞「恐れはダークサイドに通じる。恐れは怒りに、怒りは憎しみに、憎しみは苦痛に」からタイトルをとっている。つまり、物語は彼女が暗黒面に深く堕ち行くさまを描いている。そして、『マンダロリアン』S2や『アソーカ』に登場した彼女は、憎しみの先の苦痛を抱えていたのかもしれない。


第1話では、故郷のダソミアを破壊された「恐怖」が描かれる。母を殺され、サディストのグリーヴァス将軍に追い詰められ、ただモーガンは必死に逃げる。運よく彼女は「山の民」に命を救われ、彼女たちの元で新たな道を模索するチャンスを得る。しかし、彼女は山の民の「母」を信じ切れずに、若者をそそのかして武器を取りに戻った。結果、彼女たちは分離主義者に襲撃され、多くの犠牲を出した。

この物語は恐怖に駆られることの危険性が描かれる。山の民の「母」は確かな実力と経験に則って自分たちが攻撃されることはないと断言しているにも関わらず、精神が不安定で血気盛んな若者たちは恐怖に突き動かされ、過激な行動へと走る。戦う勇気を持つことは美徳だが、戦わなくてすむ方が良いという当たり前の事実を示してくれた。モーガンは恐怖、そして怒りに駆られて冷静な判断をできず、結果として死者を出してしまった。

この「山の民」は、レジェンズ(旧設定群)の「歌う山の民」が元ネタだと思われる。レジェンズでは歌う山の民からナイトシスターが分派したという設定だが、正史ではどうなるのだろうか?山の民は「古風」と非難されていたが、ナイトシスターの源流は別銀河のペリディアにあるはずで、そうなると古風なのはナイトシスターのはずでは・・・?よくわからない。山の民も魔女ではあるようなので、何らかの関係はあるだろうが。


第2話では、コルヴァスの監督官となったモーガンが、帝国にTIEディフェンダーを売り込むシーンから始まる。売り込みは上手くいかず、コルヴァスの侵略すらほのめかされた。しかし、ペレオン(パレオン)という将校だけは彼女に興味を持った。コルヴァスに帰ると、人々は成果を上げられなかった彼女を糾弾する。自分の苦労を理解していないかのような反発にモーガンは「怒り」を覚える。ルクの襲撃の後、彼女はスローン提督と出会った。スローンは彼女が復讐のために生きていることを知ると、その答えに満足し戦艦を与えた。

スローン大提督とモーガンの出会いが描かれ、『反乱者たち』でスローンが自らの計画の要としていたTIEディフェンダーがモーガンの立案だという事実が明らかになった。モーガンは確かな優秀さを持ち合わせているようだ。モーガンが監督官になった過程が描かれていので彼女が民に向ける怒りがどの程度正当性のあるものなのかはわからないが、「魔女」を蔑称として向けられる心の痛みは理解できる。魔女であることが最大の強みであり誇りである彼女は、魔女としてコルヴァスに貢献しようとし、その恩恵を受けた人々も居たはずだ。なのに、少しうまく行かなかっただけで、異端者だと疎外され、「魔女狩り」にあう。そんな風に彼女に奇異な目を向け続ける人々と、自分がかつて所属していた魔女たちのコミュニティを比べて彼らを「違う人々」とみなすことは十分理解できる。彼女が一般人を見下すようになったのは、一般人が彼女を魔女と呼び続けるからという側面もあろう。

スローン大提督は上述の通り、かなり自らの思想を話してくれたので割愛。スローン、ペレオン(パレオンではない!)、ルクという名作小説スローン三部作のメンツが一堂に会するのをアニメで見られるとは良い時代になったものだ。しかし、「帝国に栄光あれ」と言い続けるスローンは、これが本音なのか未だに読みにくい。本当に彼は皇帝に忠誠を誓っているのか?



第3話では新共和国の特使がコルヴァスを訪れる。特使はモーガンに惑星を明け渡し、裁判を受けるように促すが、モーガンは拒否。ビジョンと運命を全うするため、と特使一行を皆殺しにした。子どものころに森を燃やされた「憎しみ」を持つ彼女にとってコルヴァスの森を燃やすことにも何のためらいもなかった。そして銀河を破滅から救うため、と住民に昼夜を問わず働くよう命令した。状況は絶望的だが、特使はボ=カターンに連絡を取っており・・・。ここから、ボ=カターンがアソーカに連絡を取り、『マンダロリアン』シーズン2に繋がるという流れだろう(吹替だとボ=カターンの声になっていない、酷い)。

恐怖、怒り、そして憎しみへとたどり着いたモーガンは、森を燃やす。かつてグリーヴァス将軍ら独立星系連合が森を燃やしたように。彼女が恐れていたものに、彼女自身が成りはててしまった。恐怖をまき散らす存在に。こうして、物語は『マンダロリアン』シーズン2、『アソーカ』へと繋がっていく。

しかし新共和国の特使の警備の薄さには驚く。しかもボ=カターンが対応しなければこの犯罪が露呈することもなかったのではないかと思えるずさんさ。EP1の特使がジェダイであったことを思い返すと、ジェダイ・オーダーが健在だった共和国はいかに人材に恵まれていたかがわかる。モーガンを倒したのもご存知のようにアソーカなので、ジェダイ復興の必要性がわかる。


本作を経て、モーガン・エルズベスといキャラは、『マンダロリアン』シリーズと『バッド・バッチ』というフィローニが携わってきた作品群に対応する悪役であることが分かる。モーガンはマンダロリアンやバッド・バッチのクローンたちと同じように故郷を破壊され、帰る場所を失った。しかし、マンダロリアンがネヴァロで、バッド・バッチがパブーでしたような共存の道は選ばず、復讐のために他人を利用する道を選んだ。彼女の内側には強い暗黒の感情が渦巻いている。ただ、ペリディアの魔女たちと協力して故郷の復興を目指しているという点は、シーズン3のマンダロリアンたちと似たものでもある。

全体的にはモーガンの紹介といった内容で、あまり深く謎が明かされることはなかった。彼女がダソミアから逃げ延び、コルヴァスの監督官まで出世する過程は一切描かれていない。そして、彼女が誰に復讐したいのかもわからない。ダソミアを滅ぼした本当の黒幕はパルパティーンだが、そうすると帝国に忠誠を誓っているかのようなスローンに組するのは間違いなのでは?また、どうやってペリディアの魔女たちと連絡を取り、どのようにベイランやシンと知り合ったのか?謎はまだまだある。ただ、これらの謎が気になるのは、本作がモーガンの魅力をより際立たせたおかげであろう。

豆知識

山の民

「山の民」の元ネタは、レジェンズ(旧設定群)に登場した「歌う山の民」であると思われる。どちらも、ナイトシスターと反目する魔女たちだ。ちなみに、歌う山の民はダソミアの初登場作品でもある『レイアへの求婚』に初登場した。

TIEディフェンダー

モーガンが立案したTIEディフェンダーは、シールドもハイパードライブもないTIEファイターの弱点を克服するための機体。アニメ『反乱者たち』ではスローン大提督の計画の中心に置かれていた。

ギラッド・ペレオン(パレオン)


スローン大提督の副官で、『マンダロリアン』シーズン3にも登場したペレオンが初めてアニメ化!ペレオンは、最初期の名作レジェンズ小説「スローン三部作」に登場しており、ファンから高い人気を誇る。なお、ディズニープラスでは原語の発音に合わせたパレオンという訳語が使われているが、多くのオタクは数十年もペレオンと呼んでいたのでペレオンという呼称の方が一般的

ルク

スローン大提督のボディガードであるルクも、『反乱者たち』より再登場。このキャラも、スローン三部作のキャラである。ただし、レジェンズと正史でだいぶ設定が異なる。

コルヴァス

『マンダロリアン』シーズン2に登場したコルヴァスが高クオリティでアニメ化!森林が焼け焦げていた謎も明かされた。

筆者:ジェイK(@StarWarsRenmei

画像は、スター・ウォーズ シリーズ(1977-2024、ルーカスフィルム)より。ユーザー評価は、記事執筆時点。出典 出典

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