- 第15話「援軍の到着(The Cavalry Has Arrived)」
- 評価: ★9.2/10(IMDbユーザー評価)
- 前回→第14話「敵陣へ」
海外の反応
「ファイブスのように、クローンたちを奮い立たせるために熱弁するエコー」
「あの熱い演説を披露したエコーを処刑しなかった筋書きに感謝」
「オメガの<悪いドロイドを再プログラムして我々を助ける>という戦略は、バッドバッチが一番最初のエピソードで使った戦略と同じだ」
「クロスヘアーが震える手の問題をどう克服するのか、シーズン中ずっと気になっていたのに、その答えが手を完全に失うというものだったとは(笑)」
「<彼女を待って、それから撃つんだ>。クロスヘアーとオメガのあのちょっとした言葉のないやりとり、うなずきと射撃。あれが1シーズン分の展開であり、格別だったね」
「<資金をすべてスターダスト計画に移行する>。自分のおもちゃで遊ぶためにヘムロックのおもちゃを取り上げるターキン」
「やばい!本物の帝国軍のスター・デストロイヤーだ。勿論ターキンが一番乗り!」
「気付けば誰かが死ぬとずっと予想していたが、全員の生還は予想外だった」
「スコーチは...焼き殺された(scorched)」
「最後のエメリーとエコーの会話は本当に素敵だった。二人の絆の深さ、二人とも幼少期を過ごしたことがなく、自分の人生を歩んだことがないことを彼女が指摘し、エコーが「今までは」と答えるところ、そしてエコーが親しげに肩に触れるところ、すべてが素晴らしかった。クローンたちは本当に兄弟姉妹のようで、特にエコーとエメリーはとても仲がいい」
「ウォルフやレックスやコーディに再会できなかったり、『反乱者たち』の彼らの物語が繋がってないように見えたり、いくつか不満はある。しかし、あの結末には満足しているし、『バッド・バッチ』が配信される水曜日を楽しみにすることがもうないのは寂しい」
「エピローグ!年を取ったオメガとハンターだと?オメガが反乱軍に入るなんて、もう涙が止まらない😭」
「エピソードの最後の部分は涙が出そうになったよ。オメガが反乱軍に参加する前の最後の会話。テクも悪役の一人として戻ってこなくてよかった。最近のほとんどのディズニー作品ではそのような展開があり、かなり疲れる。
「(クロスヘアーの手は別として)みんな生き残ったし、ヘムロックは報いを受けた。そして今、我々はオメガが実写シリーズに登場するかどうかを待っている」
レビュー
『バッド・バッチ』が大団円で完結!大方の予想を裏切り、
シーズン2総評「普通ではない」元兵士が求める普通の生活でも予想したような、彼らが新たな人生と新たな故郷を手に入れるというハッピーエンドであった。パブーの場所もオメガの重要性も露呈した中でこのようなエンディングを迎えるのは難しいと思われたが、ターキンが横やりを入れる形でその課題は解決した。スターダスト計画、すなわちデス・スターの計画を進めたいターキンは、ヘムロックのネクロマンサー計画を凍結し資金を流用した。そして、ターキンをライバル視するヘムロックも情報を渡していなかった。
ややご都合主義的な展開にも思えるが、帝国らしいともいえるだろう。
帝国は同じチームでありながら、いがみ合い自分の利害しか優先しないからこそ、兄弟の絆で結ばれたクローン・トルーパーたちに敗北するのだ。
その象徴的なシーンは、ハンターに支えられて腕を失ったクロスヘアーが、オメガを救出する場面だろう。自らが裏切り者であることを知っているクロスヘアーは一人でのタンティス山潜入を志願したり、しんがりを志願したりと一人で死地へと向かおうとしていた。裏切ったことでテクの死に寄与した一面がある彼は、一人でどうにか責任を取ろうとし、そのプレッシャーによる腕の震えに悩まされていた。だが、腕を切り落とされ自分一人ではどうにもできない状況になってようやくクロスヘアーは、仲間を受け入れられた。そして、オメガとハンターの助けで見事な射撃を成功させた。腕を失ったクロスヘアーの勝利は、他人からは「欠陥」に見える部分も、それは「強み」だとする本作のもう一つのテーマにも合致したものだった。
エメリー・カーも仲間と家族を得る。ヘムロックの助手として育った彼女にはそれらが欠けていたが、オメガに出会い、本当に大切なものに気付かされる。そして、「正しいことをしたい」と、『フォースの覚醒』のフィンのように反乱へと手を貸すことを決める。フィンはそこに至る背景が分かりにくかったものの、エメリーの描写があったことで彼の事情にも思いを馳せることができるようになった。
また、ナラ・セも最後に「母親」としての役目を果たす。カミーノが滅びたナラ・セにはもう家族も故郷もない。ただ出来るのは、生み出した「息子と娘」の未来を切り開くだけだ。子どもの幸福のために命を賭けられる。これこそが親の強さなのだ。ランパートは、他のクローン・トルーパーと同様に自由を手に入れるチャンスがあったにも関わらず、強欲にも中将の地位に固執する。そして、ナラ・セの人を想う心に敗北する。
本作は「変わる者」と「変わらない者」の対決であったと言えよう。オメガやバッド・バッチをはじめとしたクローン・トルーパーたちは、戦争が終わったことで次なる人生へと足を踏み入れようとしている。だが、永遠の繁栄を願う帝国は彼らを利用しようとする。永遠の命を求めるパルパティーン皇帝の指示の下、地位に固執するランパートやヘムロックが暗躍する。何度も繰り返したが、オメガは常に周りを変化させてきており、主人公にふさわしい人物像であった。
自由を手に入れ、変わっていったオメガやクローン・トルーパーたち。だが、エピローグで成熟したオメガは再び戦いへと身を投じることを決める。老いたハンターはそれに気づくが止めることはせず、父親として娘の門出を応援する。今シーズンのハンターはオメガに過保護だったからこそ、その変化が際立つ。この世に永遠に変わらないものなどない。しかし、それは憂うことではなく、祝うべきものなのだ。
オメガは援軍として反乱軍に加わる。反乱軍にとっては、今回のタイトルである「援軍の到着」にあたる。この題は、『クローン・ウォーズ』シーズン7でバッド・バッチが初めて到着したときに発せられた台詞「騎兵隊のお出ましだ(The Cavalry Has Arrived)」に由来するものだ。オメガはバッド・バッチを引き継ぐ(実際にオメガのジャケットにはバッド・バッチのドクロがあしらわられている)。あの時と同じように、正義のために戦う軍隊は強力な助っ人を得た。
本作はバッド・バッチという家族を描くうえではこの上ない出来栄えであった。ただ、これは「クローン・トルーパーの物語」の終わりではないように感じる。レックスやコーディは再登場せず、なぜ『反乱者たち』でレックスは戦いを嫌悪していたのか、なぜコーディが影も形もないのかは説明されなかった。そして、エコーの「クローンは兄弟を見捨てない」という台詞の直後に、洗脳された被害者のCXクローン・トルーパーたちやスコーチを殺した描写もすぐには腑に落ちない。CXについては、その肌色の部分を見せたりテクのようなヘルメットを登場させたりしていることから中身がクローンであることを制作陣は改めてほのめかしているように思えるが。今後、これらに対する答えがまた示されることはあるのだろうか。
いずれにせよ、映像や演出も巧みで、素晴らしい作品だった。本作はバッド・バッチという「欠陥」を持った人々がそれを「個性」として、自分たちの新たな人生を手に入れる物語だった。不器用ながらも互いを支え合い、家族として成長や変化を喜びあえるハッピーエンドを手にした。その完結を今は褒め称えたい。
(そのうち本シーズンの総評も投稿します)
豆知識
サイレン音
タンティス基地が警戒態勢に入ったときに聞こえる緊急サイレン音は、スター・ウォーズの映画中によく登場する効果音。第二次世界大戦の海軍艦艇で使用された本物のサイレン音にインスパイアされている。
インペリアル級
ターキンは、『バッド・バッチ』では初登場のインペリアル級スターデストロイヤーに乗って登場する。2隻のヴェネター級を引き連れており、共和国軍が帝国軍へと移行していく過程を強調している。
スシ
度々登場していたが、惑星パブーの寿司らしき食べ物がアップで登場!スター・ウォーズ銀河には、スシと呼ばれる食べ物があることが明らかになっているので、これはやはりスシだろう!
スターダスト計画
ターキンは、ヘムロックのプロジェクトとタンティス施設の資金をすべて、「スターダスト計画」に移行するように命令する。この計画は、デス・スター計画のプロジェクト名で、『ローグ・ワン』で初登場した。
エピローグの場面
エピローグは何度も変更されたが、オメガが反乱軍に加わるというアイデアは常にコンセプトで中心的だったそうだ。
また、このシーンのオメガのジャケットにはバッドバッチのドクロパッチが、バッチャーの首には首輪がつけられている。
画像は、『バッド・バッチ』(2024年、ルーカスフィルム)より。ユーザー評価は、記事執筆時点。
出典 出典