本来エピソード9を制作するはずだったコリン・トレヴォロウ監督とデレク・コノリーは、自分たちのエピソード9、『Duel of the Fates(運命の闘い)』の構想を温めていた。上層部の判断で二人は解雇されたが、後に脚本とコンセプトアートが流出し、正当なエピソード9『スカイウォーカーの夜明け』と大きく異なるその内容を多くのファンが称賛した。スター・ウォーズのファンであるワインガーナー氏は、内容を再構成することで、『Duel of the Fates』の素晴らしいファン・コミックを制作した。
本編
解説
冒頭部分でポーは、ファースト・オーダーの議事堂に「熱排気口」や「サーマル・オシレーター」がないことを指摘している。前者はデス・スターと第二デス・スターの弱点であり、後者はスターキラー基地の弱点だ。今までのスター・ウォーズを皮肉り、今作が新たな方向へと進むことを示唆している。
そんな中でも、主人公のレイはジェダイの「掟」を守ろうとしている。だが、ポーは独りで戦おうとするレイを窘める。「それはジェダイの本に書いてあるのか?」。レイアは、ポーとレイの恋愛の雰囲気を感じ取り、「新世代のあなたは、何千年も前のジェダイの掟なんか守らなくていい」と諭す。二人の言葉に突き動かされたのか、レイはポーへキスをする。
『スカイウォーカーの夜明け』では、レイとカイロ・レンというカップリングだったが、本作ではレイとポーがカップルだ。それは第一話でも示唆されていた。実は、『最後のジェダイ』にレイとポーの自己紹介シーンが入っているのは、本作の監督であるトレヴォロウの要望だ。レイとポーという組み合わせはトレヴォロウの中では確定事項であった。レイは、恋愛を通じて、「新たなジェダイ」になろうとする。
一方のカイロ・レンは、シス卿たちの師匠だった謎のエイリアン、トーア・ヴァルムと出会う。ヴァルムはダース・プレイガスとも関係があるキャラクターで、モーティスに眠る古代の力の一端を知っている。カイロはひざまずき、その教えを乞うことになる。古代の力を得ようとするカイロと、新たな道を歩もうとするカイロが対比されている。
余談だが、キスの直後の台詞の訳し方が難しかった。原文ではレイが「Did it work?」と問いかけ、ポーは「I mean, I think so.」と返す。レイはキスでのごまかしがうまくいったか聞き、ポーは自分にそのキスが効いたことを示唆するすれ違いの場面だ。このポーの返しだけでは、レイは自分への好意を自覚しない。その部分を踏まえて、やや意訳したがあまりうまくいかなかった。その点は、ご容赦いただきたい。研鑽を積みます。
コンセプトアート
レジスタンスの新しい船(本作では<ファントム・ホーク>に) |
惑星レムニコアを探索するカイロ・レンと彼のドロイド |
トーア・ヴァルム |
惑星ボナダンへ到着する<ファルコン> |
惑星ボナダンの着陸パッド |
対訳
オレンジ色の部分は、公式準拠の訳語。その他は、訳者による非公式の訳語。
- Gundark:ガンダーク
- Bonadan:ボナダン
- Corellian:コレリアン
- Phantom Hawk:<ファントム・ホーク>
- Finalizer:<ファイナライザー>
- lectro-oxygen chamber:電気酸素室
- Loyyil Karn:ロイル・カーン
- Mecktrooper:メクトルーパー
- Nomi:ノーミ(ノーミ・サンライダーのオマージュ?)
クレジット
- Written by Colin Trevorrow and Derek Connolly
- Original characters created by George Lucas
- Artwork, Letters, Colors by Andrew Winegarner, Ph.D.
- Translation to Japanese by ジェイK
翻訳・再掲載を快く許可してくださった作者のワインガーナー氏に改めて感謝いたします。
免責事項:この作品はファンメイドであり、スター・ウォーズのクリエイターや著作権者の権利を侵害する意図はありません。スター・ウォーズや各キャラクターの権利は、正当な所有者にあります。作者および訳者は、無償のファン活動として、このウェブ・コミックを制作しています。