本来エピソード9を制作するはずだったコリン・トレヴォロウ監督とデレク・コノリーは、自分たちのエピソード9、『Duel of the Fates(運命の闘い)』の構想を温めていた。上層部の判断で二人は解雇されたが、後に脚本とコンセプトアートが流出し、正当なエピソード9『スカイウォーカーの夜明け』と大きく異なるその内容を多くのファンが称賛した。スター・ウォーズのファンであるワインガーナー氏は、内容を再構成することで、『Duel of the Fates』の素晴らしいファン・コミックを制作した。
本編
➡第一話
➡第二話
➡第三話
➡第四話
➡第五話
➡第六話
➡第七話
解説
スター・ウォーズのオタクであるコリン・トレヴォロウ監督が構想していた本作『Duel of the Fates(運命の闘い)』は、前提知識があったほうが、より楽しめる。特に、今回言及された惑星モーティスの知識は抑えておきたい。惑星モーティスは、アニメ『クローン・ウォーズ』に登場した摩訶不思議な星だ。「選ばれし者」であるアナキンは、超越した存在「ザ・ワンズ」とこの地で遭遇する。ザ・ワンズの「父」は、暗黒面の化身である「息子」と、光明面の化身である「娘」の二人を押さえてバランスを保っていたが、老化によって力を失いかけていた。そして、アナキンに自分の役割を引き継いでもらいたいと考えていた。しかし最終的に、アナキンはその役割を拒絶する。バランスは失われ、それが後のスター・ウォーズの悲劇へと繋がっていく。
ザ・ワンズは強力な存在だ。父はアソーカを生き返らせることが出来た。息子はアナキンにダース・ヴェイダーになる未来を見せることが出来た。さらに、アニメ『反乱者たち』では死した後も彼らが「時空の管理者」であるような描写がされている。やりすぎな設定だと思われるかもしれないが、このキャラを考案したのはジョージ・ルーカス監督だ。本作はルーカスの「神話」を映画に落とし込もうとする意欲的な作品だ。ジェダイと"シス"、レイとカイロ・レンは、神話の力を巡って衝突することになる。
また、ルークの師匠としての描写が多い点も本作の魅力だ。『最後のジェダイ』で予告したように、ルークはカイロ・レンに付きまとい、彼のかつての師として道を正そうとする。そして、レイとも長い時間をかけて師弟関係を築いている(とほのめかされている)。それでも、レイとルークの溝は埋まらず、この回では決別が強調された。『スカイウォーカーの夜明け』のあっさりとレイを説き伏せるルークよりも、本作の師弟関係の方が『最後のジェダイ』の描写に忠実であるように思われる。
そして忘れてはならないのは、ハックス最高議長。『最後のジェダイ』でカイロの軍門に下ったハックスだが、本作ではフォースに夢中なカイロを差し置き実務上のトップ、最高議長として活躍している。そのうえで、自分にも特別な能力があるんじゃないかと行動する彼の姿は、滑稽であり、同時に嫉妬深いキャラクター性を際立たせている。
本作は『最後のジェダイ』から数年が経過しているという設定だ。階級章を集めてるローズや、レジスタンスの戦略に対応しているファースト・オーダー、ルークとレイの関係性は、それを暗示している。前作から数年開けることで、『最後のジェダイ』に足りなかった「知らないところで進展している関係性」を十二分に描けている。
対訳
オレンジ色の部分は、公式準拠の訳語。その他は、訳者による非公式の訳語。
- Dade:デード
- Biss Kova:ビス・コヴァ
- Kofa rebiva tora famlia:コファ・レビヴァ・トーラ・ファムリア!
- Commander Sellik:セリック司令官
- Lord Gherlid:ゲーリッド卿
- Jor Nult:ヨル・ナルト
- Raykar Shen:ライカー・シェン
- Remnicore System:レムニコア星系
- Tor Valum:トーア・ヴァルム
- Korilev:惑星コリレヴ
- Mortis:惑星モーティス
クレジット
- Written by Colin Trevorrow and Derek Connolly
- Original characters created by George Lucas
- Artwork, Letters, Colors by Andrew Winegarner, Ph.D.
- Translation to Japanese by ジェイK
翻訳・再掲載を快く許可してくださった作者のワインガーナー氏に改めて感謝いたします。
免責事項:この作品はファンメイドであり、スター・ウォーズのクリエイターや著作権者の権利を侵害する意図はありません。スター・ウォーズや各キャラクターの権利は、正当な所有者にあります。作者および訳者は、無償のファン活動として、このウェブ・コミックを制作しています。