- 第十二話「前哨基地(The Outpost)」
- 評価: ★9.2/10(IMDbユーザー評価)
- 前回→第十一話「メタモルフォーゼ」
- 次回→第十三話
海外の反応
「抜群に良い。百点満点。メーデーが死んだ瞬間、クロスヘアーが大尉に何をするのかがわかった。画面を通して彼の怒りを感じることができた。前回のエピソードから、面白くなってきたね~」
「クロスヘアーがこれまで最悪の扱いを耐えてきたので、彼が撃つとは思えなかった。しかし、彼が大尉を殺すことを選択したのを見て、とても嬉しかったよ」
クロスヘアーは<重荷を運ぶ意味はない>から、ツンドラ地帯でメーデーを引きずって、士官に衛生兵を頼むまでになった。そして、また新たな魅力的なクローンが登場し、一話で退場した」
「帝国軍将校を全員ポング・クレルにしようとしているの?」
「あのクソ将校は自業自得だ。クロスヘアーの贖罪に期待しよう」
「<我々は良い兵士だった。命令に従った。だが、何のために?>。メーデー、安らかに眠れ。このエピソードはとても素晴らしく、気が滅入るものだった」
「独立したエピソードとして見ても、クロスヘアーの物語に確かな方向性を与え、中心的なプロットに関わるエピソードとして見ても、素晴らしいものだった。そして、大尉の処刑は、今作全体の中で最もカタルシスを感じる瞬間の一つだった」
「このエピソードでは、音楽とサウンドデザインが素晴らしい。メーデーのヘルメットの音が、見た目と同じように聞こえるのがいい」
「クロスヘアーのエピソードのテーマは秀逸で、ブレードランナーのような雰囲気だ」
「『マンダロリアン』よりもバッドバッチの方が楽しいと思うのはおかしくないよね?」
レビュー
二話連続で、素晴らしい回だ!『マンダロリアン』ばかり盛り上がっているが、こちらも評価できる話が続く。バッド・バッチから離脱したクロスヘアーは帝国に仕え続けていた。「優秀な兵士は命令に従う」という信念のもと、ノーラン大尉のようなクローン差別主義者にも従う。しかし、バートン4で前哨基地を守っていたコマンダー・メーデーは、一年以上も救援を送ってくれない帝国への不信感を抱いていた。二人は、盗まれた荷物を取り戻す任務を共にする。
部下思いで、帝国に失望しているメーデーと、仲間と離れても帝国に仕え続けようとするクロスヘアーはなかなか噛み合わない。死体という「重荷」に対する考え方も違う。だが、荷物を取り戻した二人は、今までクローンが命がけで守ってきたものが、新型のトルーパーの装甲服だったことを知る。メーデーの部下は、彼らの「代替品」のために、死んでいった。メーデーは問いかける。「我々は良い兵士だった。命令に従った。だが、何のために?」。自分の価値を証明し続ければ、帝国でも居場所を得られると考えていたクロスヘアーの考えも揺らぐ。彼らは、自分たちが使い捨ての駒にすぎないことを悟った。
二人は雪崩に巻き込まれ、メーデーはクロスヘアーをかばって重傷を負う。合理的に考えるクロスヘアーだが、今回に限ってはメーデーを助けようと肩を貸す。ここで見捨てれば、彼が、いや自分たちが使い捨てだと認めることになる。難所を乗り越え前哨基地まで戻ったクロスヘアーは、上司のノーラン大尉にメーデーを救うように訴えかける。だが、大尉は「使い捨てを救うのは資源の無駄遣いだ」と一蹴した。メーデーは、その場で息を引き取る。クロスヘアーは、大尉を撃ち抜く。その手にあるのは、メーデーの銃。この思いは、全てのクローン・トルーパーの思いだ。空には、鳥が舞う。・・・しかし、帝国は、裏切り者のクロスヘアーを別の方法で利用しようとしていた。
クロスヘアーの上空を飛ぶ鳥には、様々な解釈があるだろう。空を駆けまわる姿は、自由の象徴にも思える。「生き残るすべを知っている」上空の鳥と、地べたで横たわるメーデーの死体を見比べ、クロスヘアーは仲間と死ぬことを選んだようにも思える。また、ハゲタカのようなこの鳥は、クローン・トルーパーの死をかぎつけ、上空に待機しているようにも思える。いずれにせよ、巧みな情景描写だ。
クロスヘアーは、どんなに尽くしても使い捨てられるだけで、帝国が彼らを重視することはないと気付いた。帝国には、クロスヘアーが求めていた居場所はない。彼にとって、それはどこにも居場所がないのと同じであり、後先を考えない復讐しかできない。だが、バッド・バッチとなら、違う道を歩めるだろう。
今シーズンは、全体的に「労働者」や「居場所」がテーマになっている。第十話では鉱山労働者の蜂起が描かれ、今回も労働者であるクローンの搾取と使い捨てが描かれていた。コマンダーの名前が、国際労働者の日と同じメーデーであるのも意図的だろう。また、第六話や第八話では、故郷の大切さや故郷への思い入れが描かれていた。これらを考えると、『バッド・バッチ』では「クローン・トルーパーが自分らしく生きられる居場所」が作られるのではないだろうか。
豆知識
一年以上
『バッド・バッチ』シーズン2の正確な時系列は明かされていないが、メーデーは一年以上前から救援を求めていたと明かしていた。どうやら、帝国設立から1年以上経っているのは間違いなさそうだ。
メーデー
クローン・コマンダーは、メーデー(Mayday)というニックネームを持っていた。Maydayは救難信号として現実で使われている。また、5月1日の国際労働者の日も、May Dayと呼ばれる。