【レビュー・豆知識】アニメ『テイルズ・オブ・ジェダイ』 アソーカ・タノ編(第一話&第五話&第六話)

2022/10/28

アニメ レビュー

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アニメ『テイルズ・オブ・ジェダイ』は、今までスター・ウォーズのアニメーションを一手に引き受けてきたデイヴ・フィローニ監督の最新作だ。来年配信のドラマ『Ahsoka』への布石である今作では、全六作のうちの三作を使い、アソーカ・タノというキャラクターの紹介が改めて行われた。既存アニメへの誘導という一面も強かったが、クオリティの高い出来栄えだった。この記事では、アソーカが主人公の第一話、第五話、第六話のレビューと豆知識を扱う。


ドゥークー伯爵主人公作のレビュー&豆知識、海外の反応については、以下のリンクより。





第一話「生と死と」



  • 副題:「生と死と(Life and Death)」
  • 監督:ナサニエル・ビジャヌエバ
  • 脚本:デイヴ・フィローニ
  • 評価: ★7.3/10(IMDbユーザー評価)

物語は、アソーカ・タノ出生の瞬間から始まる。惑星シリの片田舎のとある村で、アソーカは生を授かった。父ナク=イルと、母パブ=ティを含め、周りの人々から誕生を祝福される、ごく普通の赤ん坊だと思われた。

それから一年が経ち、母パブ=ティは、伝統に従ってアソーカを狩りへと連れて行く。二人は、木の精霊や先祖の精霊へ感謝を捧げなければならない。狩猟民族である彼らは、自然崇拝、アニミズム的な考えを持っている。獲物を仕留めた後、パブ=ティは、アソーカに大事なことを教える。「死から目をそらしてはならない」。狩猟民族である自分たちの生は、獲物の死の上に成り立っているのだ。ヨーダの「死は生命の定め」という言葉にも似ている。彼女は、敬意をもって獲物にとどめを刺した。

そんな中、突然現れる“サーベルタイガー”(音声解説でそう説明されている)。母は娘を守ろうと必死に戦うが、力及ばずアソーカは攫われる。これが自然の掟。普段は狩る側のトグルータ種族も、時には狩られる側になる。村人たちは、彼女の命を諦めるつもりはないが、打つ手なしだ。

しかし、アソーカは、自分を食べようとするサーベルタイガーと心を通わせる。フォースに導かれた彼女には、自然の掟すら変えられる特別な力がある。獣に連れられて村に帰還したアソーカに、長老ガンティカは驚嘆し、こう告げる。「アソーカはジェダイじゃ」。




蝉の鳴き声が聞こえるアジアン・テイストの村。そして、自然崇拝とアニミズム。どちらも、スター・ウォーズとマッチしたフィローニ監督らしいアイデアだ。「ジェダイ」であることを示すために、『マンダロリアン』のような分かりやすいテレキネシス描写をしなかった点は評価したい。トグルータの文化でも、ジェダイとは「精霊と心を通わせられる特別な存在だ」という説明がついた。フォースの、そしてフォース感応者の捉え方は、文化によって違う。そして、ジェダイとは、戦うだけの存在だけではない。

また、この「生と死と」が、今後の作品にどう繋がるかにも注目だ。来年には、アソーカ・タノを主人公とするドラマの配信が決定している。彼女は、「死」に再び直面することになるのだろうか。


第五話「継続は力なり」



  • 副題:「継続は力なり(Practice Makes Perfect)」
  • 監督:サウル・ルイス
  • 脚本:デイヴ・フィローニ
  • 評価: ★8.8/10(IMDbユーザー評価)

クローン大戦の序盤。アナキン・スカイウォーカーは、聖堂内を疾走していた。弟子のアソーカの訓練に遅刻したのだ。席に着こうとすると、オビ=ワンが「時間通りだな」と嫌味。一方、アソーカの訓練は順調。リモート・ドロイドなんてなんのその。後輩のパダワン、ケイレブ・デューム(後のケイナン・ジャラス)は羨望の目を向けている。だが、アナキンは不満げ。「あんな訓練は時間の無駄だ。本物を受けたくないか?」とアソーカを挑発する。当然、売られた喧嘩は買うのが、アソーカ。

訓練当日、アソーカは遅刻する。今度はアナキンが「時間通りだな」と皮肉。まだ若いぶん、アソーカはついムッとする。訓練相手として待ち受けていたのはキャプテン・レックスと第501軍団。アナキンは「感じるんだ」と、ヨーダのウケウリ?を披露する。だが、何度やっても上手く行かない。こんなに厳しい訓練は必要ない、とアソーカはつい不満を漏らす。だが、アナキンは、どうしてもアソーカに死線を潜り抜ける力をつけて欲しいのだとか。愛する者の死を恐れ続けているアナキンらしい言葉だ。

時間が経ち、クローン大戦終盤へ。この頃には、5分間もクローン・トルーパーの猛攻をしのげるようになっていた。もはやレックスが銃を抜かなければいけないほどの成長ぶり。そして、更に時間が飛び、舞台はオーダー66発令後の『クローン・ウォーズ』シーズン7へ。「あの訓練が役立つことを祈っています」とレックスに励まされ、クローンの大軍の前へ。待ち受ける部隊を率いるのは、なんの因果か、最初の訓練でアソーカを気絶させたジェシーだ。気になる続きは、シーズン7で!!




正直、『クローン・ウォーズ』への誘導が主目的の回で、あまり語ることはない。だが、アニメで、オビ=ワンとアナキンの絡みや、アナキンとアソーカの絡みが見られたのは、素直に嬉しかった。『クローン・ウォーズ』S7のアソーカ強すぎ問題の解消としても良い案だったのではないだろうか。アナキンの訓練が、アソーカを生かし、後の反乱軍の創設に繋がったと考えると、運命的なものを感じる。

気になる台詞が一つ。アナキンは、この訓練に慣れれば、「銃相手には無敵だ」と語る。じゃあ、アソーカが死ぬなら、ライトセーバー相手ってこと・・・?ドラマが控えているため、ついつい邪推してしまう。


第六話「決意」



  • 副題:「決意(Resolve)」
  • 監督:サウル・ルイス
  • 脚本:デイヴ・フィローニ
  • 評価: ★8.9/10(IMDbユーザー評価)

第六話は、『クローン・ウォーズ』S7の直後から始まる。レックスと共にオーダー66から逃れたアソーカは、惑星ナブーのパドメの葬式に出席する。ベイル・オーガナから「彼らに対し、君ができることはもうない」と告げられたアソーカは、失意のどん底にある。「義務を果たせ」と語るベイルからコムリンクを渡されても、戦いから距離を置こうとする。

時は流れ、アソーカは「アシュラ」という偽名で農場で働いていた。だが、同僚の少女を守るためにテレキネシスを使い、ジェダイであることが露見してしまう。少女は、ジェダイである彼女に感謝するが、帝国の支持者である弟は、褒美欲しさに彼女を密告する。

尋問官が村に表れ、村人を虐殺する。弟は、自らの失敗を悔やむが、もう遅い。だが、ジェダイであるアソーカは、彼を救うためにフォースを使った。尋問官は、ちょっとした有名人だったアソーカを見つけたことに歓喜するが、あっさりとやられる。弱すぎる。この尋問官のライトセーバー・クリスタルは、後にアソーカの白いライトセーバーのクリスタルとなる(はず)。

アソーカは、生き残った三人を逃がすため、ベイルに連絡をとる。彼は悪くなる状況に対処するために彼女の力を欲していた。自らの本質が、人を助けるジェダイであると気づいたアソーカは、「フルクラム」として活動することを決意する。物語は、『反乱者たち』に繋がる・・・。




このエピソードは、『反乱者たち』の前日譚だ。アナキンとパドメ、そしてジェダイとしての道を失った失意の中のアソーカが描かれる。正史の小説『Ahsoka』のリメイクとも呼べる作品なのだが、監督のデイヴ・フィローニは、例のごとく小説の内容をほとんど無視している。

フィローニ監督は、アソーカについてこう語っている。「アソーカは、人々が苦しむのを黙って見ていられない。“銀河の人々を助ける力があるのに、座ったままでいいのか”と自問する。彼女の難しい選択は、『反乱者たち』に繋がる。やがて、予想だにしなかった衝撃的な事実が明らかとなる。ヴェイダーは、アナキンだったのだ。そして、彼女の行動は再び問われる」。




このエピソードのアソーカと、『反乱者たち』S3以降に戦いから身を引いたアソーカは、同じ状況なのかもしれない。ジェダイの生き方に対しての信頼を失っている。この話では再び、人々のためにジェダイとなることを決めたアソーカだったが、その思いは、アナキンがヴェイダーだと知って再び揺らぐ。『マンダロリアン』に登場したアソーカも、「自分はジェダイじゃない」と語ったうえで、エズラを見つけるという私欲のために行動していた。

来年配信のドラマ『Ahsoka』は、アソーカが三度ジェダイの道に戻る話なのではないだろうか。ジェダイ・オーダーはいくつも大きな過ちを犯してきた。しかし、それ以上に善行も積んでいる。ジェダイとは、まさしく正義の騎士なのだ。アソーカはジェダイに戻るべきだろう。


豆知識


惑星シリ
アソーカ・タノの故郷は、音声解説で、惑星シリだと明言された。『クローン・ウォーズ』にも登場したこの惑星は、トグルータ種族の故郷だ。


グローグーの声
ベイビー・アソーカの声では、どうやらベイビー・ヨーダこと、グローグーの声の素材が再利用されていたようだ。『マンダロリアン』で対面した二人の人気キャラが同じ声とは感慨深い。


母パブ=ティの声
アソーカの母パブ=ティを演じたのは、女優のジャニナ・ガヴァンカー。『バトルフロント II』では、アイデン・ヴェルシオを演じていた。


農業ドロイド

『マンダロリアン』Ch4に登場した農業ドロイドが、アソーカの故郷の村、そしてアソーカがオーダー66後に隠れていた村で使われていた。アソーカの故郷では、屋根の修理を手伝っていた。


Little Soka
アソーカの父ナク=イルは、小さな赤ん坊のアソーカをMy little Sokaと愛称で呼んでいた。『クローン・ウォーズ』では、アソーカをジェダイにスカウトしたプロ・クーンも、彼女をlittle Sokaと呼んでいる。


カイバック

アソーカの故郷の村で狩られていたのは、カイバックというクリーチャー。2Dアニメの『クローン大戦』では、ヨーダが愛馬として利用していた!


テラ=シヌーベ
アソーカに、訓練を施しているのは、ジェダイの長老のテラ・シヌーベ。ドラマ『オビ=ワン』で、彼の死体が帝国によって保管されていることが明らかとなったばかりだ。こんなところで生前の姿を見られるとは。


アイマ=ガン=ダーイ?
第五話の聖堂の廊下では、ニクトのジェダイが登場する。これは、『クローン・ウォーズ』で強い印象を残したアイマ=ガン=ダーイのように見える。


デパ・ビラバ&ケイナン・ジャラス師弟

アソーカの剣技に羨望の眼差しを向けている若きパダワンは、ケイレブ・デューム(ケイナン・ジャラス)。横に居るのは、彼のマスターのデパ・ビラバだ。『反乱者たち』で出会う前にも、アソーカとケイナンには面識があったようだ。


ジェシー
アソーカとの訓練で、彼女を気絶させ、「申し訳ありませんでした~」と間抜けな謝罪をしているのは、CT-5597(ジェシー)。この場面はほほえましいが、『クローン・ウォーズ』S7では、アソーカを殺そうとジェシーが指揮をとる。


Yウィング
アソーカは、レックスのBTL-B Yウィングに乗って、惑星ナブーを訪れる。レックスは、アニメ『バッド・バッチ』でも、この船に乗っていた。


トレッドウェル・ドロイド
アソーカが隠れていた村では、WED-15トレッドウェル・ドロイドが使用されていた。銀河共和国なども使っていたこのドロイドは、修理を専門とするドロイドだ。


タンティヴ
ベイル・オーガナは、『EP4/新たなる希望』でもおなじみの「タンティヴ」に乗って、アソーカたちを拾いにやってくる。実は、この型の船には、タンティヴIIIとタンティヴIVがあるのだが、この船がどちらかは不明。



画像は、アニメ『テイルズ・オブ・ジェダイ』(ルーカスフィルム、2022年)より引用

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