ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』は、元々三部作映画の第一作として計画されていた。その初期の脚本を担当したスチュアート・ビーティーは、コマンダー・コーディをオビ=ワンの相棒として登場させるつもりだったという興味深い発言をしている。さらに、彼は、オビ=ワンと、19歳の闇堕ちルークが戦う場面も用意していたという。
ドラマと同様に、オビ=ワンは、帝国から追われている難民と合流する。ドラマと違うのは、難民が独自の「女神」を信仰している点だ。すべての生命を支配する女神は、フォースの宗教体系の一つだ。
難民の女性タオ(Tao)は、オビ=ワンを聖なる祠へと連れて行き、こう告げる。「手を置いて、目を閉じて、集中して。女神が貴方へと語りかける」。その通りに実行すると、オビ=ワンは、溶岩の惑星ムスタファーに居た。オビ=ワンは混乱する。
そして、オビ=ワンは、黒いローブを着た赤いライトセーバーを持つ男を見つける。「アナキン!」。オビ=ワンは思わず叫んだ。男が近づいてきて、その顔があらわになる。それは、マーク・ハミルの顔をした19歳のルークだ。オビ=ワンは、ライトセーバーを振り回し、闇堕ちしたルークに抵抗するが、殺されそうになる。そして、ビジョンから抜け出す。
これは、『EP5/帝国の逆襲』のダゴバの洞窟と似たような場面だ。「オビ=ワンがルークの訓練を続けて、この子にすべての罪を押しつけるなら、ルークは暗黒面に転向するだろうという予知だ」とビーティ―は語る。「オビ=ワンは、ルーク手放さなければならないと悟る。なぜなら、これが今のオビ=ワンに待ち受けている未来だからだ。このままでは、ルークは、シスとなり、ムスタファーでオビ=ワンを殺そうとする」。
「『スーパーマン2』のようにオビ=ワンは力を失い、ただの人になっているが、最終的にはフォースに身を任せることを学び、力を取り戻す。“宇宙の意志”に身を委ねながら、“自分のやりたいこと”を追求する。その難しいバランスをとるんだ」。ビーティ―は、この物語のテーマについて、そう語った。
マーク・ハミル演じるルークを若返らせて登場させるというこの試みは、『マンダロリアン』シーズン2のルークの登場よりも前に考案されていたそうだ。これが映画で実現していれば、ファンの心に残るシーンとなっただろう。ドラマでも、オビ=ワンは、ヴェイダーと対決し、レイアと触れ合うことで、家族の大切さを再認識し、ルークをオーウェンたちに任せる判断をする。しかし、やや説得力に欠けていたようにも感じた。この印象的なシーンがあれば、観客の反応は変わっていたに違いない。