【感想・考察・豆知識】ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』最終話「パート6」

2022/06/24

オビ=ワン レビュー

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ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』も、とうとう完結!否定的な意見も見られますが、「エピソード3.5」として、『EP3/シスの復讐』の10年後のヴェイダー、オビ=ワンを描いたことには、十分な意味があったのではないでしょうか。今回もネタバレありで、パート6を振り返っていきたいと思います。



リーヴァの決断


聖堂襲撃時のアナキンと重なる姿

 パート5でルークの存在を知ったリーヴァは、惑星タトゥイーンで、ルークを追い詰め、気絶させる。だが、幼いルークには過去の自分を重ね、子どもを襲撃する自分には過去のヴェイダーを重ね、彼に危害を加えるのを躊躇ってしまう。ヴェイダーを倒し、「家族」の敵討ちをしたかったリーヴァだが、彼女が本当に欲しいものは「正義」だ。リーヴァは、ルークを「家族」の元に返す。


 泣き崩れながら、リーヴァは、オビ=ワンに問いかける。「私は、ヴェイダーと同じなのか?」。オビ=ワンは、「君はヴェイダーと違う道を選んだ。何者であるかは自分で決められる」と答える。彼女は、ライトセーバーを捨て、尋問官であることを辞めた。


母シミを抱えていたアナキンを思い起こさせる


 リーヴァは、復讐を捨てた。対照的に、ヴェイダーは、EP2では母シミを殺したタスケンを女・子どもまで虐殺し、今作ではオビ=ワンに執着する。人を抱えてラーズ家に戻ってくるという今回の構図は、EP2のアナキンと同じであり、意図された対比だろう。


 リーヴァは、ヴェイダーにはなれなかったが、なれなかったこそ、彼とは違うことを成すことができた。彼女は、復讐を捨て、自由になった。この先は、贖罪の道を選ぶだろう。子どもを守りたいという思いがあるリーヴァなら、フォース感知者の子供を守るパスへ加入してもおかしくない。リーヴァが登場するドラマ『オビ=ワン・ケノービ』の続編が計画されているという噂もある。今後の彼女にも注目したい。


レイアは、指導者へ


10歳にして、人を導く立場に

 レイアは10歳にして、ホルスターを受け取り、パスのメンバーだったターラの思いを引き継ぐことになった。幼いながらも、多くのものを背負い、王女として人々を導く立場になっていく。


 帝国軍から逃げる途中、レイアは、ローラと共に怖がる子どもを励ましている。本当は、オビ=ワンに一緒にいて欲しいと思うほど、自分も怖いのに。それが、リーダーとなる彼女に求められていることだからだ。


”鋼メンタル”にならざるを得なかった


 『EP4/新たなる希望』では、デス・スターからの脱出後、オビ=ワンを失ったルークを励ましている。この話でオビ=ワンと苦楽を共にし、しかも故郷や両親まで失った彼女は、ここでも気落ちしているはずだ。だが、レイアはリーダーであるために気丈に振る舞い、周りを鼓舞する。なんと健気なことか。今作で深く描写することで、レイアは、より愛おしく、魅力的になった。演じたヴィヴィアン・ライラ・ブレアは称賛に値する。


ヴェイダーとアナキンの分離


いつものインペリアル・シャトルで登場

 相変わらずオビ=ワンに執着するヴェイダーは、反乱分子などそっちのけで、オビ=ワンを単独で追跡する。戦う意志と力が戻ったオビ=ワンと激突し、一度は「地の利」を得ることで、彼を圧倒した。しかし、再び舞い戻ったオビ=ワンにあえなく敗れ、マスクを破壊されてしまう。


ヘイデンの演技が光るこのドラマ一番の名シーン。


 ヴェイダーは、アナキンへの謝罪の言葉を口にしたオビ=ワンに対し、「私はアナキンの残骸だ。アナキンは私が殺した」と宣言する。この台詞は、『反乱者たち』のヴェイダーや『フォースの覚醒』のカイロ・レンに繋がる。ヴェイダーは、「アナキンが弱かったから、殺した」と思い込もうとしているのだ。


 パート3とは反対に、今回はヴェイダーがオビ=ワンから捨て置かれる。オビ=ワンがあまりにも弱いから、見逃したヴェイダーにとって、屈辱を感じる行動だ。ますます怒りを募らせたヴェイダーは、オビ=ワンをまだ追跡しようとする。だが、師のパルパティーン皇帝から、その行動をとがめられる。「迷いがある。過去を乗り越えられないのなら・・・」。ヴェイダーは、パルパティーン皇帝に従い、あんなに固執していたオビ=ワンを「自分にとっては無意味」と語り、皇帝に忠誠を誓う。彼はすでに、師に逆らうようなアナキンではなくなってしまい、「機械と化した」ヴェイダーだ。だが、その心には、もちろん、アナキンも残っている・・・。


オビ=ワンとヴェイダー


この悲痛な表情は、さすがのユアンだ

 ヴェイダーを追い詰めたオビ=ワンは、アナキンに対する謝罪の言葉を口にする。しかし、ヴェイダーの「自分がアナキンを殺した」という言葉を受け入れ、友人であるアナキンは死んだと確信する。その象徴として、EP3では友に向けて言った「Goodbye」を、今回は“ダース”に向かって言い放つ。


 オビ=ワンの中では、「アナキンは、ヴェイダーに殺された」ということで整理がついたようだ。レイアに対しては、「君は素晴らしい両親から生まれた」と語り、彼は“アナキン”を肯定する。そして、ご存知のように、EP4では、ルークに「アナキンはヴェイダーに殺された」というある視点からの真実を語る。


 だが、心の底から、オビ=ワンがアナキンとヴェイダーを別人格だとみなしているのかは、疑問だ。オビ=ワンが、ヴェイダーにとどめを刺さず、“使命”を放棄したのは、やはり、ヴェイダーにアナキンを見出してしまっているからではないか。こう考えると、EP4でヴェイダーを殺そうとしないオビ=ワンの行動にも納得がいく。


オビ=ワンの決断が、アナキンを救う


”Hello there.”ようやくオビ=ワンが戻ってきた!


 レイアとの冒険やリーヴァとの対立を経て、オビ=ワンは家族の大切さを学んだ。物語の最終版、オビ=ワンは、ルークがオーウェンとベルーの元で育つべきだという決断を下す。子どもを家族と引き離してきたジェダイらしからぬ行動だ。だが、この決断があったからこそ、ルークは家族愛を知り、父アナキンを光へと戻すことが出来た。


 この行動は、オビ=ワンなりの罪滅ぼしのようにも見える。アナキンを家族から引き離すことで闇へと落としてしまったオビ=ワンは、ルークに同じことをしたくなかった。きっとオビ=ワンは、ヴェイダーがアナキンだったことをどこかで覚えている。ドラマでも語られていたように、「完全に忘れられないこともある」のだ。その反省をオビ=ワンが活かしたことで、アナキンは救われる。


 オビ=ワン自身も、今回のドラマで大きく成長した。レイアには、「私にも不安を紛らわしてくれるローラが欲しい」と弱みをさらけ出せた。そして、過去への後悔や未来への不安を断ち切れた。かつて、師のクワイ=ガンから言われたように、今に集中することが出来た。だからこそ、クワイ=ガンの霊体をようやく見ることが出来たのだろう。


 そして、物語は、『EP4/新たなる希望』へと続く・・・。


豆知識


精肉現場の人

惑星タトゥイーンで、リーヴァに喧嘩を売り、一蹴される中年男性は、パート1に登場した精肉現場でオビ=ワンらをこき使っていた人だ。ほかにも、見たことがある顔が並んでいる。


戦うオーウェン

オーウェンは、ルークを守るためにブラスターで戦う。非正史のコミック『ビジョナリーズ』では、オビ=ワンへの復讐のためにラーズ家を訪れたモールを同じように撃退していた。このコミックは、モール復活のアイデアを提供した作品として、ファンの間では有名。


双子の太陽

夕日を見つめるシーンこそ登場しなかったが、ラーズ家の背景には、タトゥイーンでおなじみの双子の太陽を確認できる。


タスケン・レイダー

オーウェンは、ルークにタスケン・レイダーが襲撃してくると警告していた。タスケンは、『EP4/新たなる希望』にも登場し、実際にルークを襲撃している。ルークは、ライトセーバーを見ていないので、この時もタスケンに襲われたと勘違いしていそうだ。


ラーズ家

『EP4/新たなる希望』から、『スカイウォーカーの夜明け』まで登場しているルークの実家、ラーズ家が今回戦場となっていた。EP4の帝国軍に対しても、ラーズ夫妻は抵抗したのだろうか。


EP3の台詞

オビ=ワンとヴェイダーの再会の場面では、『EP3/シスの復讐』と同じセリフが見られた。オビ=ワンがヴェイダーに向かって語る「使命を果たす」と、ヴェイダーのそれに対する返答「ならば、死ね」。


ソレスの構え

力を取り戻して、ヴェイダーとの戦いに臨んだオビ=ワンは、『EP3/シスの復讐』でも見られたソレスの、弓を構えるような特徴的な構えをとる。


地の利

『EP3/シスの復讐』で、ヴェイダーは「地の利(High ground、高所)」を奪われて負けた。今回のヴェイダーは、高所を確保し、反対に「地の利」を得ている。


マスクの破壊

ヴェイダーのマスクが破壊される描写は、アニメ『反乱者たち』のvs.アソーカで初めて見られたもので、完全なオマージュとなっていた。「アナキンは私が殺した」という台詞が一致する。ただし、今回破壊されたのは、マスクの右側で、アニメで破壊されたのは、左側。


頭の傷

『EP6/ジェダイの帰還』で、マスクを脱いだ時に明らかとなるヴェイダーの頭の傷。今回の話で、それがオビ=ワンにつけられたものだと判明した。


「ヴェイダーがアナキンを殺した」

『EP4/新たなる希望』でオビ=ワンが語った”真実”、「ヴェイダーがアナキンを殺した」は、ヴェイダー自身の言葉が発端であることが今回明かされた。


Goodbye, Darth

今回、EP4と同じようにヴェイダーを「ダース」と呼称したオビ=ワンは、彼に「Goodbye」と言って立ち去る。

『EP3/シスの復讐』で、アナキンとオビ=ワンの友人としての最後の会話でも、オビ=ワンは「Goodbye」と言って別れた。


体を運ぶリーヴァ

リーヴァは、気絶したルークをラーズ家へと運んで行く。これは、『EP2/クローンの攻撃』のシミを運ぶアナキンを彷彿とさせるシーンだ。復讐しなかったリーヴァと、復讐で虐殺を行ったアナキンが対比される。


オリジナルの曲

今回、ようやくスカイウォーカー・サーガおなじみの曲を聴くことが出来た。ヴェイダーのシーンではインペリアル・マーチ、レイア&オビ=ワンのシーンでは、レイアのテーマとフォースのテーマ。


オビ=ワンの新たな服


オビ=ワンは、今回ゴーグルと新たな服を装着して現れた。これは、既出のコミックSTARWARS誌との整合性を合わせる設定。


おもちゃ

オビ=ワンは、ルークに話しかけるときにおもちゃを持っていた。このT-16の模型は、『EP4/新たなる希望』でルークが持っていたものだ。


Hello there

オビ=ワンは、ルークに対して、「Hello there」と呼びかける。この台詞は、『EP4/新たなる希望』でのオビ=ワン初登場時の台詞と同じ。


オビ=ワンの小屋

物語最終版、オビ=ワンは荷物をまとめて洞窟を去る。どこに行くのかは明示されていないが、おそらく『EP4/新たなる希望』で見たあの小屋へ行くのだろう。最後のシーンも、ベガーズ・キャニオンかもしれない。


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画像は、ドラマ『オビ=ワン・ケノービ』(2022年 Lucasfilm)より引用


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