パート1、パート2、パート3に引き続き、ドラマ『オビ=ワン』のパート4の感想をネタバレありで書き綴っていきます。今回は、時間も短く、やや安っぽく感じる部分もありましたが、スター・ウォーズらしさが全面に出ていて、楽しめる一作でした。特にオビ=ワンが”立ち直る”きっかけとなる話として重要だったのではないでしょうか(☞下の考察に繋がる話)。
『EP4/新たなる希望』との共通点
それで見つからないのかよ!というツッコミは野暮(笑) |
今回のパート4は、全体的に『EP4/新たなる希望』を意識した作りとなっていた。レイアを帝国の施設から救い出すという大筋はもちろんのこと、設計図を見て議論する反乱分子や、オビ=ワンが音を立てて敵兵の気をそらす描写など、随所にEP4の要素が散りばめられていた。
今回のドラマは全部で6パートなので、パート1~パート6が、それぞれEP1~EP6に対応するのかもしれない。実際に、前回のパート3の戦闘は、『EP3/シスの復讐』のムスタファーの戦いを彷彿とさせた。
次回のパート5は、『EP5/帝国の逆襲』の筋書きに沿った作りになるのだろうか。例えば、反乱分子の秘密基地(ジャビーム/ホス)が攻撃され、悪役(ヴェイダー/リーヴァ)についての衝撃の事実が明らかとなるように。もし、ヨーダが登場するのであれば、このパートとなりそうだ。
リーヴァの尋問
リーヴァというキャラは、回を重ねるごとに魅力的に |
EP4と同様に、レイアは秘密基地の場所を吐くように尋問されるが、頑なに抵抗する。リーヴァのフォースによる精神探査(マインド・プローブ)にすら抵抗した。今回の描写で、EP4のヴェイダーが、レイアに精神探査を使わず、いきなり尋問ドロイドを使用した理由が明かされた。
リーヴァは同情を見せることで、レイアの口を割らせようとした。曰く、リーヴァも「すべてを奪われ」、「一人ぼっちになったことがある」そうだ。これは、ジェダイ・イニシエイト時代にオーダー66を経験したことを指しているのだろう。
リーヴァの行動理念には、やはり復讐がありそうだ。それが、「聖堂から離れるように仲間に警告し、結果的に自分たちが救われる機会を奪った」オビ=ワンに対する復讐なのか、以前考察したように、「自分の仲間を虐殺した」ヴェイダー(アナキン)に対する復讐なのか、はまだ判らないが。いずれにせよ、EP5を踏襲するであろうパート5で明かされるだろう。
「墓場」は、スノークに繋がる?
極秘扱いだったこの墓は、ただの墓ではないはず… |
尋問官の城が、ジェダイやフォース感知者の「墓場」として利用されていることが、今回明らかとなった。ジェダイの長老テラ・シヌーベの死体から、ジェダイではないであろうフォース感知者の死体まで、帝国は集めて、保管している。彼らは、この墓場をどのように活用するつもりなのだろうか?
EP9で、パルパティーンがスノークを創り出したと判明 |
これらの死体は、EP9で登場した、特殊なクローン(人造人間)、「ストランド=キャスト」の計画に関連しそうだ。『マンダロリアン』では、生きているフォース感知者のグローグーが狙われている。『バッド・バッチ』では、特殊なクローンである不良分隊とオメガが狙われている。そして、スノークと、パルパティーン皇帝の息子は、フォース感知者の遺伝子を利用したストランド=キャストであるという設定だ。帝国時代のパルパティーン皇帝は、ストランド=キャストを造り出しそうと躍起になっている。
この「墓場」は、上記の作品に加え、『フォールン・オーダー』の続編であるゲーム『ジェダイ:サバイバー』にも関連しそうだ。今のスター・ウォーズを理解する上で、このストランド=キャストという設定は外せない。要注目だ。
立ち直るオビ=ワン
ユアンのライトセーバー捌きが見られて嬉しかった! |
今回のパート4では、オビ=ワンが復活する兆しが垣間見えた。冒頭では、フォースを使うこともままならないほど傷ついていたが、終盤ではライトセーバーを華麗に操り、水も押しとどめるほどのフォース能力を取り戻している。
その全ては、レイアのためだ。助け出した際に、レイアは「私喋らなかったよ」と報告する。それへのオビ=ワンの返答は、「I know(知ってるよ)」だ。ハン・ソロとレイアのやり取りを彷彿とさせるセリフだが、ただのオマージュではない。この短期間で、オビ=ワンがレイアという人間を深く理解するほど、二人に固い絆が生まれたことを示唆する。
最初はぎこちなかった二人の関係も、もはや親子のように |
最後の場面も印象深かった。自分のために死んだ人が居ることを認識するレイア。彼女は、その死に意味を持たせるため、遺志を引き継いで戦い続けなくてはならない。まだ幼い彼女は、心細そうにオビ=ワンの手を握る。オビ=ワンは優しい目を向ける。守るべきレイアのが居たからこそ、オビ=ワンは再起することが出来た。
衣装もジェダイらしくなっていた |
だが、その”代償”は大きい。オビ=ワンは過去の傷からまだ癒えず、力が出せないでいた。そんな彼にターラはこう語り掛けた。「レイアという“今”を守るためなら、“過去”を忘れるべきよ」。オビ=ワンは、”今”戦うために、その通りに行動した。過去のことを考えることを辞めてしまった。
今回のドラマの注目点は、道を見失ったオビ=ワンが過去をどう克服するか、だった。しかし、答えは単純だったのかもしれない。オビ=ワンは、過去を克服なんてできていない。考えるのをやめてしまっただけだ。だから、ルークに「アナキンはヴェイダーに殺された」という、その場しのぎの言葉をEP4で言ってしまうのだ。オビ=ワン自身も、アナキンが闇落ちしたことを直視出来ていないのだ。
考察:オビ=ワンは、ルークと同じ状況でもヴェイダーを救えない
痛々しい、ヴェイダーと同じ火傷 |
今回の冒頭で、深い火傷を負ったオビ=ワンは、バクタ・タンクに入る。そして、同時にヴェイダーもバクタ・タンクに入っている。火傷という同じ傷を、二人が抱えていることが示される。
傷を共有する描写は、EP6で”手を失った傷”を共有するルーク&ヴェイダーと同じ構図だ。さらには、オビ=ワンも、ルークと同じように、ヴェイダーの“家族”だった。だが、オビ=ワンには、ヴェイダーは救えないだろう。パート6あたりで、ヴェイダーと再戦し、EP6と似たような構図になるかもしれないが、それでも、決して救えない。
それは、上述の通り、オビ=ワンが”今”戦うために、”過去”を忘れようとしているからだ。オビ=ワンは、”弟”が闇落ちしたことも、その理由も、彼に善の心があったことも、全てを忘れようとしている。そんな人間に、ヴェイダー(アナキン)を救うことなど出来ない。
この全ての物語を終わらせるのは、ルークなのだ |
だが、ルークは、同じ傷を抱えるヴェイダーを見て、そのマスクの下に”アナキン”を見出す。過去のしがらみを持たない「新たなる希望」のルークだからこそ、ヴェイダーを救える。ルークは、オビ=ワンが成せなかったことを成すのだ。
豆知識
惑星ジャビーム
今回、惑星ジャビームが登場。ジャビームは、レジェンズのコミックで初登場した雨が降りしきる惑星。レジェンズでは、オビ=ワンもクローン大戦中にこの地で戦い、戦死扱いとなるほどの敗戦をした苦い思い出がある。
惑星バルナブ
リーヴァの口から発せられた惑星バルナブは、アニメ『クローン・ウォーズ』に登場した惑星。C-3POとR2-D2がアニメで訪問した。
コード・シリンダー
劇中で、帝国軍の制服についている円筒形のコード・シリンダーが使用された。これはただの階級章だと思われがちだが、情報にアクセスする際に使う。
呼吸器
オビ=ワンは、尋問官の城に水中から侵入した。その際、口に呼吸器を装着していたが、これは『EP1/ファントム・メナス』を彷彿とさせるシーンだ。
シーカー・ドロイド
アニメ『反乱者たち』で登場したものと同型と思われるシーカー・ドロイドが、尋問官の城の中で実写化。アニメと同じように、尋問官に仕えていた。また、これはゲーム『バトルフロントII』でインフェルノ分隊に仕えていたID-10の前のモデルだろう。
フォースで音を立てる
ターラからの通信で気づかれそうになったオビ=ワンは、テレキネシスで音を立て、ストームトルーパーの気をそらす。オビ=ワンは、『EP4/新たなる希望』でも同じ動きを見せていた。
墓場
尋問官の城は、ジェダイやフォース感知者の「墓場」として利用されていることが判明した。アニメ『反乱者たち』で、帝国がルミナーラ・アンドゥリの死体を保管していた理由を補強する設定となった。オーダー66を生き延びたジェダイ、オポー・ランシセスやコールマン・カジと思われる死体も見えるが、はっきりとは分からない。
テラ・シヌーベ
オビ=ワンが、「墓場」で見つけた死体の中には、アニメ『クローン・ウォーズ』で活躍したテラ・シヌーベのものも。長老も、オーダー66を逃れられなかったようだ。
ジェダイ・イニシエイトの死体
尋問官の城では、イニシエイトの死体も発見された。俳優が同じなので、彼は、パート1冒頭でオーダー66から逃れようとしていたイニシエイトの一人だ。おそらく、リーヴァのかつての友人だろう。
惑星フローラム
ターラが、「パス」の基地として名前を挙げた惑星は、フローラム。『クローン・ウォーズ』では、オナカー・ギャングの本拠地として登場した。ホンドー・オナカーに迷惑がかかりそうだが、彼はジェダイにも大きな借りがある・・・。
パージ・トルーパー新型
予告編にも登場していたパージ・トルーパーの新型が本編にも登場した。大した活躍は無かったが・・・。『フォールン・オーダー』の続編である『ジェダイ:サバイバー』にも登場しそう。
尋問官の城と水中の窓
ゲーム『フォールン・オーダー』では、カル・ケスティスたちが尋問官の城を逃れる際に、水中の窓から脱出した。今回も、似たような水中の窓を利用され、ストームトルーパーが撃破された。この弱点は、5年の間に改修されなかったんだろうか。
マウス・ドロイド
尋問官の城の中では、帝国軍の修理ドロイドとして活躍するマウス・ドロイドが登場した。『EP4/新たなる希望』で、チューバッカに怒鳴りつけられ、Uターンしていたかわいらしいドロイドだ。
T-47エアスピーダー
「パス」の仲間たちが、尋問官の城を襲撃する際に乗っていたのは、EP5のホスの戦いでスノースピーダーとして活躍していたT-47エアスピーダー。本来は、二人乗りのはずだが、レイアが子どもだったからか、3人乗ることが出来た。